星が神を語らなくなった時代──啓示から背教への転換

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夜空にそびえる崩れかけたバベルの塔。星々が静かに輝く中、神の沈黙と人の傲慢を象徴する幻想的な情景。

どうして星占いで運命がわかるようになったのでしょうか?

ミツゲ

昔の人は、星が神の意志を示す“しるし”だと思っていましたが、やがて星そのものが運命を動かす存在だと考えるようになったのです。

古代の人々にとって、星は神の言葉の一部でした。

やがて人はその声を忘れ、星の動きを運命と呼ぶようになります。

この記事では、バビロニアからギリシャに至る「星が神を語らなくなった時代」を、神秘主義の視点からたどってみます。

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目次

星はもともと“神の言葉”だった

夜空を見上げた古代の人々にとって、星はただの光ではありませんでした。

天の動きは神の語りかけであり、季節の巡りも神の秩序の一部として感じられていたのです。

星は「創造主の計画を刻む時計の針」であり、天体の運行は神の意志を表すしるしでした。

しかし、時がたつにつれて、人は神の声よりも法則としての動きに心を奪われていきました。

星は“語るもの”から“支配するもの”へと変わり、ここから「占星術=背教」の物語が始まります。

啓示から秩序へ──“神の大時計”の誤読

創造主が定めた秩序=コスモスは、もともと神の理性と調和を映す構造でした。

けれども人は、その背後にある意志を忘れ、“秩序そのもの”を神として崇め始めました。

星の動きは「神の意志の反映」から「世界を動かす法則」へと変わり、やがて啓示は沈黙し、法則だけが残りました。

神が語らなくなった時代、人はその沈黙の秩序の中に神を見出そうとしたのです。

バビロニアの背教──星が神になった文明

バビロニアの人々にとって、天体は単なる観測の対象ではありませんでした。

星は神々そのものであり、木星はマルドゥク、金星はイシュタルとして崇められました。

天は神々の王国であり、人間の運命を定める舞台でもあったのです。

こうして、人は神の語りを聞くかわりに、星の動きを読み取り、そこに運命を見ました。

それは啓示の消失であり、法則信仰という新しい宗教の始まりでした。

星は語らず、ただ運行する──
その沈黙を人は“神の声”と取り違えたのです。

この誤解こそが「星の支配」という思想の根この誤解こそが「星の支配」という思想の根になりました。

星の沈黙を神の言葉と誤って理解したとき、人は神の意志を超えた運命の機械に従うようになったのです。

ギリシャの再構築──星を理性の象徴に戻す試み

ヘレニズム時代、ギリシャの哲学者たちはこの“星の支配”を理性の光で読み替えようとしました。

プラトンは「星々の運行に神の思考を見る」と語り、プトレマイオスは『テトラビブロス』で「星は神の秩序の鏡」と説きました。

彼らは、天を再び神の理性の象徴として理解しようとしましたが、その神はもはや語る存在ではなく、沈黙する理性でした。

星は神を示す象徴となったものの、そこに神の声は戻りませんでした。

星の支配を超えて

啓示が沈黙したとき、人は星に耳を傾けるようになりました。

星は神を奪ったのではありません。
神の声を忘れた人間が、星の沈黙に耳をすませたのです。

バビロニアの占星術は、神を忘れた人類の祈りの残響でもあったのかもしれません。

背教とは、神を失った人が、それでもなお神を探そうとする別の方法でもある。

星の支配を超えて、もう一度“語る神”を思い出すこと──それが現代に残された霊的な課題なのです。

参考資料

基礎からわかる 西洋占星術の完全独習|ルネ・ヴァン・ダール研究所 (著) 日本文芸社

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