
生まれた瞬間、空のどこに星があったの?
それは私に何を教えてくれる?



出生ホロスコープは「生まれた瞬間の宇宙の配置」を地図として可視化したもの。
天文学的な位置関係を土台に、神話や象徴の言語で“読み解く”ことで、自分を客観視するためのヒントになる。
出生ホロスコープは「生まれた瞬間の宇宙地図」
出生ホロスコープ(ネイタルチャート)は、生年月日・出生時刻・出生地の3要素から計算されます。
地球上の特定の地点から見上げた空に、太陽・月・惑星がどの方角・高度・黄道上のどの位置にあったかを二次元の円盤に投影した図がチャートです。
ここで扱う「意味」は、観測事実に物語を与えるための象徴の辞書のようなもの。
天文学のデータに、神話・心理・文化のレイヤーを重ねて読むのが占星術の作法です。
ミツゲの出生図:山羊座に集まる重心
例として、著者ミツゲ(1961年1月16日・午前2時頃・愛媛県松山市生まれ)のチャートを手がかりにします。


基礎からわかる 西洋占星術の完全独習 ルネ・ヴァン・ダール研究所 (著) 日本文芸社より
- 太陽・月・木星・土星が山羊座(地のサインへの集中)。
- グレートコンジャクション期(木星と土星の会合のサイクル)に誕生。
- 午前2時生まれのため、太陽は地平線下(夜のチャート)。
この配置が示す空気感
山羊座は、地に足をつけ、現実を積み上げる“構築”の象徴。そこに社会性や節度を司る土星、拡大と秩序の木星、自己核の太陽、感受性の月が集まるため、「長期目線」「持久力」「形にする責任感」のモチーフが強まります。
夜生まれ(太陽が地平線下)のチャートは、外への発露よりも、内側で熟成される粘り腰や静かな強度が効きやすい傾向も示唆します。
「質量の大きい星に地面へ引っぱられる感じ」という直感表現は、象徴的にも面白い比喩です。
重い天体(社会天体・土星/木星)に物語の重心が置かれるとき、個人の歩みもまた、ゆっくり確実に“重いものを動かす”方向へ焦点が合いやすくなります。
この出生図は、著者が占星術に関心を持つきっかけにもなりました。
「素人目にも何かありそう」と思わせるサイン集中は、それ自体が読みの入口になります。
10の「惑星」は神々の針──名前・由来・象徴
占星術では便宜上、太陽と月を含めて「10の惑星」と呼びます(天文学的には太陽・月は惑星ではありませんが、ここでは記号として扱います)。
名称は古典的には主にギリシア・ローマ神話に由来し、それぞれが時計の針のように固有の意味を運びます。
- 太陽(ヘリオス/アポロン):中核・生命力・創造性
- 月(セレーネ/アルテミス):感受性・リズム・保護
- 水星(ヘルメス/マーキュリー):知性・言語・移動・取引
- 金星(アフロディーテ/ヴィーナス):愛・美・調和・価値
- 火星(アレス/マルス):意志・闘志・切断・点火
- 木星(ゼウス/ジュピター):拡大・保護・秩序・恩寵
- 土星(クロノス/サターン):時間・境界・成熟・責任
- 天王星(ウラノス):変革・独立・閃き
- 海王星(ポセイドン/ネプチューン):霊感・境界の融解・夢
- 冥王星(ハデス/プルート):極性・死と再生・底力
※「太陽・月は惑星じゃないのでは?」というツッコミはもっともですが、占星術では機能語として惑星とみなしてまとめて扱います。天文学と用語運用の違いは、次の機会に整理して詳細に解説します。
星座は“舞台”、惑星は“登場人物”
12星座は、古代の神話・象徴から性質づけられた舞台設定です。
惑星(登場人物)がどの星座(舞台)で振る舞うかによって、同じ“役者”でも演技のトーンが変わります。
山羊座という舞台のキー
- キーワード:構築、節度、責任、長期計画、社会性
- 神話的イメージ:山の稜線を一歩ずつ登る山羊──“高みに達するための地道さ”
- 象徴的な学び:時間を味方につける、形にする、継続の力
ひと目で分かる出生図の“印象読み”
本格的な解釈に入る前に、分布・偏り・大筋を見るだけでも得られる示唆があります。
- 元素バランス:地(山羊)が強い → 現実志向・具体化・管理能力。
- 社会天体の強調:木星・土星に重心 → 個人だけで完結しない“社会的文脈”のテーマが太くなる。
- 日中/夜間の別:夜図(太陽が地平線下) → 外向きの光より内側の熟成・基盤づくりに追い風。
ここまでの印象だけでも、「長い時間軸で、確かな形を残す」という方向性が立ち上がってきます。細部(アスペクト、ハウス、度数など)は、次回以降に段階的に掘り下げていきます。
おわりに:はじまりの空を、自分の取扱説明書に
出生ホロスコープは、未来を決めつける運命表ではありません。
むしろ、自分の傾向を見取り、選び方と時間の使い方を洗練させるための地図です。
山道を登るとき、地形図があると歩き方が変わるのと同じ。
はじまりの空を知ることで、これからの一歩を楽にします。
参考資料
基礎からわかる 西洋占星術の完全独習|ルネ・ヴァン・ダール研究所 (著) 日本文芸社
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