初期のがんが検診で見つかると「早期発見で、運がよかった」といって、治療に入りますよね。でも、糖尿病は? その時点で体に異常を感じるているわけではない。どっちも同じなのに、この差はなんでしょう?
同じぐらい? いや、それ以上に恐ろしい病気なのに。実は診断を受けた時点で、病状は進んでいるようです。それでも自覚症状がない。凄まじい合併症に命を脅かされて、そのヤバさに気づくのです。
沈黙の暗殺者(Silent Killer)が糖尿病でした。
脳梗塞で死にかけて|糖尿病が背後にあった!
プロフィールでもお話ししたとおり、脳梗塞の初期症状がでてオタオタしていた時がありました。病院に行くと「救急車を呼ぶケースだ!」と叱られてしまいました。
それまでも、時々定期健診で引っかかっていたんですよ。
- 血圧が高い
- 中性脂肪が高い
- 血糖値高い
それで要精密健診となったこともあります。血圧の高さで保険の掛け金が高くなってしまいました。でも、まだ病気だとはならなかったんです。
そこに、糖尿病という病名が付きました。妻には「貧乏暮らしなのに贅沢病になるなんて」とため息をつかれる始末です。
糖尿病は脳梗塞を引き起こす原因になるのですね。少し賢くなりました。
糖尿病
よく聞く病名なのですが、どのような病気か説明できるほどには、自分がわかっていないことに気付きました。改めて調べてわかったことを、私なりにまとめてみることにします。
日本の代表的な生活習慣病
日本人の死因の上位5位には糖尿病は入っていませんが、合併症としてこれらを引き起こし、重症化させ、治療の妨げとなる原因として糖尿病の存在があります。糖尿病が引き起こす合併症は、別の病名となって多くの人の命を奪っていると理解するべきです。
- ガン(悪性新生物、腫瘍)
- 心疾患
- 老衰
- 脳血管疾患
- 肺炎
これらの多くは日々の生活習慣の蓄積によって、気づかないうちに発症して、気づかないうちに重症化していきます。合併症の症状が出て、その深刻さに気づくことになります。
予備軍|隠れ糖尿病持ち
スナック菓子を食べて、コーラで喉をうるおす。これらには糖質がたっぷりです。そして、運動はあまりしない。
そのような生活を長く続けるということは糖尿病リスクを高めていっているといえます。発症してなくても、この国には予備軍はいっぱいいそうですね。
糖質でも砂糖などはわかりやすいですね。摂りすぎは体に良くないと理解されてきています。でも、甘くない糖質がありますよ。ご飯、麺類、パンなどの炭水化物です。炭水化物は食物繊維と糖質でできています。この糖質の過剰な摂取が体を痛めつけるものとなっています。
こうなったら糖尿病 Death!
糖尿病の名前は字面では甘そうなおしっこみたいな名前ですが、英語でのDiabetesもギリシャ語由来で同じ意味です。わたしも一時期、少し甘ったるい臭いのおしっこが出てました。
でも、おしっこの病気ではなく、実際は血液の病気です。身体中の組織に悪影響を与えます。
糖尿病は検診などで血液検査によって見つかります。血糖(血液中のブドウ糖)の量が多く、ずっと減らない状態です。血糖の量を血糖値といいます。血糖値がずっと高い値を示すと糖尿病となります。
糖尿病になるメカニズム|鍵となるインスリン
糖質は体のエネルギー源ではありますが、肉体にとって危険物ともなります。なので体内の血糖値は低すぎず、高すぎずのバランスを厳密に保とうとします。その仕組みが崩れると健康を損ないます。
体中の細胞にブドウ糖が届けられ吸収するまでのメカニズムは以下のようです。鍵になるのは膵臓で分泌されるインスリンというホルモンです。血糖値を下げる仕組みはこれだけなのです。
- 食べ食物が胃や腸で食物が分解され栄養素は血管に吸収される。
- ブドウ糖は小腸から血管内に吸収されて血糖となる。
- 血糖値が上昇する。
- 膵臓のβ細胞からインスリンが分泌され、血管に放流される。
- 体内の各細胞にインスリンの働きによって取り込まれる。
- 血糖値が下がる。
この仕組みがうまく働かず、血管内にブドウ糖がいつまでも残り、血糖値を上げたままにする。それが糖尿病です。ブドウ糖は各細胞には届けられず、血管内を痛め続けていきます。
- 膵臓からインスリンが分泌されない。
-
膵臓のβ細胞が死んだり、疲れてしまってインスリンが十分に供給されなくなってしまいます。そうなるとブドウ糖は各細胞に吸収されず血管の中に残留することになります。また過剰に分泌することで血糖値を急激に下げることもあります。低血糖症といって、これも命にかかわる状態です。
- インスリンがうまく働かなくなる(インスリン抵抗性)
-
膵臓はインスリンを分泌していても、各組織がブドウ糖を吸収して血糖を下げる働きがうまくできなくなる状態です。
糖尿病の種類
- Ⅰ型糖尿病
-
主に幼少期にウイルス感染などの病気が原因で膵臓のβ細胞が働かず、インスリンを分泌できなくなることです。生活習慣病ではないケースです。
- Ⅱ型糖尿病(生活習慣病)
-
食生活、運動不足によってβ細胞が痛めつけられている状況です。
この場合は肥満を伴うことが多いのですが、日本人はインスリンの供給が弱いので肥満になる前に発症するやせ型糖尿病があります。が、肥満は十分に原因になっていると思われます。
老化によって膵臓が弱り、インスリンの分泌が衰えることがあります。
様々な合併症
糖尿病患者さんは、複数の合併症を抱え満身創痍となっている方が多いです。脳梗塞は脳内の血管に動脈硬化が起きているからですが、そういう人は心臓付近にも動脈硬化を抱えているかもしれません。また下肢の毛細も詰まりかけているかもしれません。網膜の血管だって危ないかも。血液異常は万病の元なのかもしれませんね。
主な症状|早めに発見、真剣に改善が必要-でも難しい!
糖尿病と診断される前に、糖質の摂取をコントロールすればいいのでしょうが、そうなりません。検診で血糖値が高く、中性脂肪も高く、血圧も高い。それでも危機はあまり感じないのです。なぜなら、
自覚症状がないからです。
初期症状-自覚症状なしがほとんど
スナック菓子を食べている。糖質を処理するために臓は一生懸命にインスリンを分泌して身体の安定を保とうとしています。本当に陰で寡黙に働いてくれています。それも知らずに清涼飲料で流し込み、大量の糖質で追い討ちをかけている状況です。ものすごく疲れて限界が近くても頑張ってくれています。
中期症状|なんか変かなあ? とは思うかも。
そうしているうちに処理が追いつかず、血糖値が高どまりになると、色々なところに影響が出てきます。
- おしっこが多く、いつも行くようになる。
- 喉が渇きやすい
- すぐに疲れてくる。
- 足がよくつる。
- 傷が治りにくくなってる。
- できものができやすい
でもまだ病気という感じでもないんですよね。だから放置する。戻れない川を渡ってしまうのです。
「もう歳だからかなー」とか言いながら。
進行期の症状|深刻な状況
白内障、手足の壊疽、尿毒症など、血糖異常からくる深刻な合併症が身体に襲い掛かってきます。
Ⅰ型の場合
- 昏睡
- 意識障害
適切にインスリンを補給できなかった、または作用しなかった時に起こり得ます。とても危険で命に関わる状態です。
Ⅱ型の場合
インスリンが全く分泌されない場合は、Ⅰ型と同じく、昏睡や意識障害もおこり得ます。
それ以外に、代表的な状態が3つあります。
糖尿病性網膜症
- 網膜の血管
- 飛蚊症(ひぶんしょう)
- 視力低下
- 中途失明の危険
危ない症状が並んでますが、ここまでの危機が迫っていても、
「最近、目の充血が多いなー」ぐらいの認識かも知れません。
糖尿病性神経障害
主に下肢ですが、小さな外傷でも感染しやすくなり、壊疽を起こし切断を余儀なくされることもあります。
糖尿病性腎症
高血糖状態で腎臓が糖を過剰にろ過するために高圧力となり、糸球体が固くなり腎臓の機能が低下します。透析が必要となってくる事態もあり得ます。
少しでも高血糖状態を改善しようと、腎臓も無理を承知で尿に糖質を排出しようと頑張っているかも知れませんね。そしていつかは限界を迎えるということでしょう。
治療法
薬物療法
- インスリンの分泌を促す
- インスリン抵抗性を改善
- 糖の吸収を阻害する薬
インスリン注射
- Ⅰ型:必須
- Ⅱ型:食事療法、運動療法で改善されない場合
運動療法
肥満の解消と血糖値の改善のため有酸素運動を勧められます。
ウォーキング、水泳などが多いみたいです。
食事療法①|栄養指導で摂取量を調整
現在の主流な方法です。1日の摂取カロリー量を調整して、炭水化物も積極的に摂りながら、塩分や脂肪を控えめにすることを勧められます。カロリーコントロール法ですね。
食物繊維は多めに摂取することを勧められます。
食事療法②|糖質制限という選択
血糖値は糖質を摂取することから上がります。なら、糖質を摂らないという方法が糖質制限です。
糖質を摂らないことで、インスリンの分泌を抑えて膵臓を休ませることができます。しかし、糖質を摂らなくて体は大丈夫なのかという議論が今も続いています。
糖質を制限することで劇的に血糖値は下がりますが、糖尿病の状況によっては危ない状況を招くこともありますので、糖質制限に詳しい医師の指導を受けることが必要です。
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